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飲食店の原価計算とメニュー設計|原価率・売価設定とABC分析の基本

公開 2026-07-12

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「値段はなんとなく相場で決めた」というメニューは、飲食店では珍しくありません。ただ、原価をきちんと計算せずに売価を決めていると、売れているのに利益が残らない、という状態になりがちです。メニューは店の利益を作る設計図なので、ここを数字で組み立てられるかどうかは、経営の安定に直結します。

僕は前職が施工管理で、材料と手間の原価を積み上げて見積もりを作る仕事でした。飲食のメニュー設計も発想は同じで、「一品ごとの原価を把握して、狙った利益が出る売価を組む」に尽きると感じています。この記事では、飲食店の原価計算とメニュー設計を、原価率・売価設定・ABC分析の順で整理します。数字の目安は業態で変わるので、自店の基準を持つための出発点として読んでください。


原価計算の基本:一品ごとに出す

メニュー設計の出発点は、一品ごとの原価を出すことです。ここが曖昧なまま売価を決めると、どの商品で利益が出ているのか見えなくなります。

一品の原価は、レシピ(標準的な使用量)をもとに、使う食材の量と単価を積み上げて計算します。

  • 主材料だけでなく副材料も入れる:ソース・付け合わせ・調味料まで含めないと原価が甘く出る
  • 歩留まりを考える:野菜の皮や魚のアラなど、使えない部分を差し引いた実質の量で計算する
  • ロットの単価で見る:仕入れ単位あたりの価格から、1食で使う分を割り出す

最初は主力メニューだけでも構いません。全品を一度に計算しようとすると挫折しやすいので、売れ筋から着手して、一品ごとの原価を掴む感覚を作るのがおすすめです。


原価率の考え方と目安

一品の原価が出たら、それを売価で割った原価率で管理します。原価率は多くの業態で30%前後を一つの基準にすることが多いですが、これも業態次第です。

  • 原価率 = 材料費 ÷ 売価
  • 原価の高いステーキ業態と、原価を抑えやすいカフェやドリンク中心の業態では、狙う水準がそもそも違う

ここで大事なのは、全品を同じ原価率に揃える必要はないということです。原価率の高い目玉商品で集客し、原価率の低いドリンクやサイドで利益を取る、という組み合わせで店全体のバランスを取るのが現実的です。一品ずつの率だけを見て高い商品を消すと、集客の目玉を失うこともあるので、あくまで店全体で見るのがコツだと思います。

また、計算上の原価率(理論原価)と、実際にかかった原価(実際原価)はズレます。このズレはロス(廃棄・過剰仕込み・盛り付けのバラつき)から生まれるので、値付けとは別に現場の運用でも管理が必要になります。


売価をどう決めるか

原価率がわかると、狙った利益から逆算して売価を組めるようになります。「相場でなんとなく」から「数字で決める」に変える段階です。

売価設定で意識したいのは、次のあたりです。

  • 原価から逆算する:狙う原価率が30%なら、原価÷0.3が売価の目安。ここを起点にする
  • 価値と客層で調整する:立地・客単価・競合を踏まえ、逆算した価格を上下させる
  • 価格の見せ方を設計する:松竹梅のように選択肢を並べると、真ん中が選ばれやすい

コスト(原価)だけで決めても、周りの相場やお客さんが感じる価値とズレると売れません。逆算した価格を土台に、価値と客層で微調整する、という順番が無理がないと思います。値上げを検討するときも、まずはロスやポーションの見直しから入ると、客離れのリスクを抑えやすいです。

原価の把握には、仕入れ単価や在庫のデータが土台になります。発注や在庫を数字で管理したい場合は、以下のようなサービスも候補になります。


ABC分析でメニューを見直す

メニューは作りっぱなしにせず、定期的に見直すことで利益が変わります。そこで役立つのがABC分析です。売上や利益への貢献度でメニューをA・B・Cに分け、品揃えを整理する考え方です。

  • 売れていて利益も出る(看板商品):おすすめや導線で、さらに出やすくする
  • 売れているが利益が薄い:原価やポーションを見直せないか検討する
  • 売れていないが利益は出る:見せ方や提案で伸ばせないか試す
  • 売れず利益も薄い:思い切って絞ることで、仕込みやロスの負担を減らせる

メニュー数が多いほど、仕込みの手間・食材の種類・廃棄のリスクが増えます。「品数が多い=親切」とは限らず、絞ることで運営が軽くなり、看板商品に集中できることも多いです。感覚で残すのではなく、貢献度の数字を根拠に判断するのがコツだと思います。


数字を運用に乗せる

原価計算もメニュー設計も、一度やって終わりでは意味がありません。仕入れ価格は変動しますし、売れ筋も季節で動くからです。運用に乗せるには、定期的に数字を更新する習慣が要になります。

  • 仕入れ単価の更新:価格が上がった食材は、原価率への影響を早めに反映する
  • 棚卸しで実際原価を出す:理論との差=ロスに気づけるのは、実際原価を出すから
  • メニューの定期見直し:ABC分析を折に触れて回し、品揃えを更新する

最初から精密にやろうとすると続かないので、まず主力商品の原価と売価から始めて、徐々に対象を広げるのが現実的です。数字を持っていると、値上げや改廃の判断が「感覚」から「根拠」に変わります。


まとめ

  • メニュー設計の出発点は一品ごとの原価計算。副材料や歩留まりまで含めて出す
  • 原価率(目安30%前後、業態で変わる)は全品を揃えず、店全体のバランスで見る
  • 売価は原価から逆算し、価値と客層で調整する。値上げ前にロスとポーションの見直しを
  • ABC分析で貢献度を可視化し、看板商品を伸ばし・低貢献品を絞る

原価計算とメニュー設計は、数字を持てば持つほど判断がラクになる領域です。特に原価の土台になる仕入れ・在庫は、手作業だと更新が止まりがちなので、仕組みで支える価値が大きいところです。発注や棚卸しの手間に課題を感じているなら、発注・在庫管理ツールの導入も検討してみてください。自店の規模や運用に合うかは、機能と費用を比べ、公式で最新の内容を確認して判断するのが安心だと思います。

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